冷え症
冷え症というのは、現代医学にはない病名ですが、病症を体全体から把握して治療を行う漢方では、重要な治療対策といえます。冷え症は、体の他の部分はまったく冷えを感じないのに、おもに腰や手足だけがとくに冷たく感じるもので、頭痛、めまい、のぼせ、下腹部痛、不眠症、女性の不感症などの神経症状を起こすことが多く、さらには下腹部の冷えにより、便秘や下痢、食欲不振になることもあり、また、子宮や卵巣の病気を起こしたりして早産や流産の原因にもなり兼ねません。

循環器系障害や自律神経機能の失調、貧血、低血圧、ホルモン分泌障害などが冷え性のおもな原因とされていますが、はっきりせず、とくにこれと特定できないのが現状です。このように、その原因がはっきりしないうえに、症状も多種多様ですので、その処方も実に個別的になります。専門医にその症状をよく話し、自分に合った薬を用いることが大切です。冷え性を治療して、体を温めることのできるのは、漢方薬の大きな特徴です。

「冷え症」 (民間薬)
ウコギ オオニンニク ゲンノショウコ シシウド トウキ ベニバナ マタタビ  
薬用植物名 採集時期 成分 薬効 用法説明
ウコギ
根(初春芽が出る前)

滋養強壮・鎮痛・足腰の冷え・疼痛・インポテンツ
ウコギ(五加皮)酒は不老長寿の薬酒としてよく知れれています。初春芽が出る前のウコギを掘り出して、水洗いして根の皮をはがして天日で乾燥させて刻みます。「せんきゅう」「とうき」などを加えた醸造酒があります。ウコギ50グラム、砂糖10〜15グラム、ホワイトリカー1.8リットルを加えて密閉して冷暗所に保管。1ヶ月程度で飴色になりますが、熟成するには3ヶ月程度が必要。
ゲンノショウコ 全草(7〜10月) タンニン・フラボノイド・芳香化合物 下痢・健胃整腸・利尿・強壮 @全草を採り、日陰で干す。A1日15〜20gを200mlの水で、1/2になるまでゆっくり煎じる。B3回に分け、食前に飲む。Cお茶として飲む場合は、10グラムを1日量として0.5リットルの水を10分煮出して3回に分けて、食前・食間に飲用。副作用がなくすぐれた健胃整腸剤。
「冷え症」 (漢方薬)
温経湯(うんけいとう) 甘草乾姜湯(かんぞうかんきょうとう) 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) 桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
五積散(ごしゃくさん) 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 八味丸(はちみがん)
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)