アマ                     (アマ科アマ属:1年草:草丈 〜100センチ:花期 〜8月)

薬効
かゆみ(外用)     めまい・ひきつけ
分布生育場所

科名:アマ科/属名:アマ属
和名:亜麻/学名:
Linum usitatissimum L.
北海道、本州、四国、九州の全国で栽培する1年草。


(←拡大画像はクリックします)

見分け方・特徴

草丈1メートルくらいの無毛の1年草草本です。茎は細長く上方で分岐します。葉は長さ2〜3センチの皮針形で柄がなく、茎に互生します。
花は7〜8月ごろ、枝の先につき、空色の5弁花で直径約1.5センチです。花粉は青色で大変珍しいものです。果実は球形で、中に10個の平たい扁楕円形の種子を含み、長さ約0.5センチ幅約0.25センチです。

精油用の品種は、南方での栽培に適し、繊維用の品種は、寒い地方で多く栽培されます。
日本では、明治以降、北海道で高級織物の原料として栽培されました。
採集と調整
8〜9月ごろ種子をとって天日で乾燥させ、同時に根は水洗いしたのちに乾燥させます。茎葉は生のまま使います。
日当たりがよく排水がよければ、どこでもよく栽培できます。アマには光周期性がなく、年温のみで花蕾ができ開花するので、温度の上昇する前に茎を作る必要があります。一般には、10〜11月ごろに播種します。
翌年3月ごろには、発芽して生長するので追肥をたびたびおこなって開花期に茎葉を作るのがコツです。
薬効・用い方
種子には、粘膜が多く含まれるので、昔は煎剤または寫剤として腸カタルに用いたり、浣腸に外用したりしましたが現在は、そのような用い方はあまりせずに、民間薬として皮膚のかゆみに外用します。種子をすりつぶし、少量の水を加えて練り、これを患部にぬります。
めまい、ひきつけには、1回量として根4〜8グラムに水0.3リットルを加えて煎じ、2分の1量まで煮詰めて服用します。
止血剤としては、生の茎葉をもんで、患部に外用します。

中国では、大部分の地域で栽培される薬草の一種で、根を亜麻(あま)といい理気、平肝、活血薬として、慢性肝炎、頭痛、睾丸炎、疝気(せんき)を治す目的で用います。1日量15〜30グラムを煎じ2〜3回に分けて食間に服用します。打撲傷や刀傷出血にはつぶしてはります。種子は亜麻子(あまし)といい別名には胡麻子(ごまし)、壁風胡麻(へきふうごま)があります。
解毒鎮痛薬として、1日9〜15グラムを煎服します。また、よくつぶしたものは、皮膚のかゆみや、ぬけ毛に外用すると効き目があるとされます。
その他
名前の由来は、中国の古書には、亜(あ)とは「次ぐ」、麻(ま)とは「大麻(たいま)」の意味といい、麻(あさ)の次に繊維や油をとるという意味から、亜麻(あま)という名がついたと記述があります。
日本名は、亜麻(アマ)をそのまま音読みにしたものです。

中央アジア南部、アラビア原産で油と繊維がとれるため、広く世界で栽培されています。
繊維は普通は収穫したあとに、水につけて発行させて不用部分を腐らせて流し去り、繊維だけにします。アマの繊維は綿よりも長く、布も絹様の光沢があって、高級の織物とされています。
日本では、元禄時代(1690)で、薬用油(亜麻仁油)が作られました。

別名として、アマの種子は濡れると、ぬめりがでて、種子の形がゴマに似ていることから、ヌメリゴマという呼び名もあります。