センニンソウ   (キンポウゲ科センニンソウ属:つる性多年草:草丈 〜 センチ:花期 〜10月)

薬効
神経痛(しんけいつう) リューマチ
分布生育場所

科名:キンポウゲ科/属名:センニンソウ属
和名:仙人草/別名:ウシノハコボレ/学名:Clematis terniflora
日本全土の山地、土手、道端に自生、センニンソウの果実

キンポウゲ科センニンソウ属ボタンヅル(牡丹蔓)
キンポウゲ科センニンソウ属クサボタン(草牡丹)
キンポウゲ科センニンソウ属トリガタハンショウヅル(鳥形半鐘蔓)
キンポウゲ科センニンソウ属カザグルマ(風車)


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見分け方・特徴

原野などで普通に自生する落葉性のつる草、茎は円柱状で肋(ろく)があり長く伸びて枝分かれします。
葉は長柄があり、奇数羽状複葉(うじょうふくよう)で小葉は3〜7枚あり、他の物に小葉柄(ようへい)と葉柄で巻きついて生長します。
花は、8〜9月ころ葉脈(ようみゃく)から円柱花序(えんちゅうかじょ)を出して、白色花を多数つけます。白色の花弁(かべん)に似た、がく片は4枚、花弁は無く、雄しべと子房(しぼう)は多くあります。
果実は種子状で平たく倒卵形でミカン色で、花の後の雌しべの花柱(かちゅう)が伸びて果実に残り、長さ3センチくらいになって羽毛状になり、風で飛散して繁殖します。

よく似た生態にボタンヅルがある

採集と調整
葉を夏から秋にかけて採取して、生(なま)のままで用います。
根を乾燥したものを、生薬(しようやく)で和威霊仙(わいれいせん)といいます。

有毒部分:葉、茎
有毒成分:ポロトアネモニン(汁液が皮膚に触れると引赤、発疱(はっぽう)して水腫(すいしゅ)が生ずる。
中毒症状:胃腸炎症


毒性が強く、民間では絶対に飲用してはいけません。



薬効・用い方
民間では、へんとう炎に生(なま)の葉1〜2枚をよくもんで、手首の内側に軽く貼り付け、一昼夜くらいそのままにします。すると、手首の内側に軽い痛みを感じるようになり、やがて、へんとう炎の痛みもとれてきます。
生(なま)のセンニンソウを取り除くと、その部分が発疱(はっぽう)して赤くなりますので、温水でかるく洗います。また、皮膚の弱い人の場合には、ガーゼに包んで塗布します。
神経痛、リューマチ、にも痛みのある患部に生の葉を塗布すると、やがて、発疱(はっぽう)して、水疱(すいほう)が出来るので、その水を抜き、患部を包帯で保護するという民間療法がありまが、真意については解明されていないようです。
同様の民間療法は、キツネノボタンにもある

生薬(しょうやく)で、中国産の威霊仙(いれいせん)とは、センニンソウと同属のシナボタンヅルやイトボタンヅルの根を乾燥したものです。これは、煎じて神経痛、リューマチなどの痛み止めに用いますが、日本のセンニンソウは民間療法だけで、外用だけの応用になっています。

この用法は、飯沼慾齋(いいぬまよくさい)も表しているように、昔からセンニンソウの発泡成分プロトアネモンを応用する一種の刺激療法の部類になります。これを服用することは粘膜などに発赤発疱(はっせきはっぽう)の副作用が表れるので用いる場合には十分な注意が必要です。

センニンソウの別名には、ウシノハコボレがありますが、これは牛が牧草といっしょに食べてしまうと歯が抜けてしまうことからつけられたもので、有毒植物のひとつということです。

また、民間では茎葉をつぶして軟膏に配して、のう水を破るために用いられていたこともあります。


その他
幕末に飯沼慾齋(いいぬまよくさい)は50歳になると医者であった家業をゆずり、自らは大垣西方の長松に平林荘を建てて、植物学の研究を進めて、本草図より植物図を書き近代植物学として草木図説(そうもくずせつ)草部20巻を表しました。
そのうちの木部10巻は未刊のままとなっていましたが生誕200年近くになって刊行されました。
今でもなお植物図と解説が植物学に寄与していることからも、飯沼慾齋(いいぬまよくさい)のすぐれた業績をうかがうことができます。
その中で、センニンソウの記述は草木図説・木部の巻6に収載されていて、フツクサ、大蓼(たいりょう)の名前があり「原野ニ多キ蔓草ニシテ、衆ヨク通知シ、往々以テ外伝シ泡ヲ発シテ諸患ヲ治スコトアルモノナリ・・・・・」という記述があり、薬効についての説明があります。

名の由来は、花が終わると枯れて仙人を連想するからという