ザクロ            (ザクロ科ザクロ属:落葉小高木:樹高 〜5メートル:花期 〜6月)

薬効
下痢 腸管寄生虫症
分布生育場所

科名:ザクロ科/属名:ザクロ属
和名:石榴/学名:Punica granatum
日本には古くに薬用として中国から渡来、全国で庭木などとして植栽

見分け方・特徴

ザクロは、高さが3〜5メートルにもなる落葉の高木で、幹には瘤(こぶ)が多く、ところどころがねじれています。
葉は、長楕円形で細長くつやがあり小型で対生しています。短枝は刺(とげ)になります。
花は、5〜6月ころ小枝の先端や葉のわきに6弁の赤黄色の花をつけます。花には花梗(かこう)があって、がくは厚く筒形で先が裂開していて、光沢があり、花弁(かべん)は鮮やかな赤色で数枚あり、縮んで、多くの雄しべがあります。
秋の果実は、小枝に1〜3個つき球形で先端に、がく片がのこり、熟すと開裂して隔膜で区切られた中には淡紅色の種子があります。
種子の外種皮は甘酸っぱく透明でゼリー状になっています。


採集と調整
ザクロは、秋に熟して裂けた果実を採取して、果皮をはいで広げて天日で乾燥させます。
また、8月ころに幹皮を、とくに9〜10月ころ根皮をはいで天日で乾燥したものを、生薬(しょうやく)で石榴皮(せきりゅうひ・根皮)といいます。

栽培:ザクロの繁殖には、挿し木が一般的です。2月の初めころに、さし穂として、前年に伸びた枝を採取して、砂の中で貯蔵します。
3〜4月に、その枝を2〜3芽残して切って、川砂と鹿沼土(かぬまつち)か赤玉土を同量混ぜて挿し木をします。
2ヶ月程度で発根するので、その後植え替えします。
他に、株分けによっても増やすことができます。


薬効・用い方
有効成分は、果肉にはタンニンほか

ザクロの果皮には多量のタンニンが含まれていて、下痢、止血の目的で1日量3〜5グラムを煎じて3回に分けて食間に服用します
大量に服用すると、腹痛や嘔吐(おうと)などの副作用があるので注意が必要です

中国では、子宮頸がんの治療に果皮と種子を砕いて服用しています。

生の根皮と乾燥した石榴皮(せきりゅうひ・根皮)は、油状物質のイソペレチェリンなどを含有していて、条虫駆除の作用があり、石榴皮(せきりゅうひ・根皮)25グラム、水0.3リットルを半量まで煎じて服用します。
この煎じ液は、胃の粘膜を刺激する作用があるので、胃炎などの症状がある場合には用いてはいけません。

果汁液は、水虫、たむしに患部に塗布する

その他
ザクロは、漢名が、安石榴(あんせきりゅう)、石榴(せきりゅう)といって、原産地はペルシャからインド西北部とされています

ザクロの名前の由来は、中国の古書に、漢時代(紀元前2世紀)の武帝の命により、西域に使者として張鶱(ちょうけん)という人が、安石国(あんせき・現イラン)から種子を持ち帰ったとされ、安石(あんせき)とは安息という意味で、ペルシャから渡ってきたザクロの果実が瘤(こぶ)のように見えることから、安石瘤(あんせきりゅう)と名づけられました

和名の「ザクロ」も、瘤(こぶ)は榴に変わり、略され石榴(せきりゅう)の音読みであって、ジャクロから、ザクロに変わったとされています。古くに中国から渡来したものです

日本には、薬用の目的で渡来したもので、幹や根の皮には、アルカロイドなどが含まれていて体内の寄生虫駆除に用いられていました
戦後までの日本には寄生虫が多く、ザクロ皮として寄生虫駆除の重要な生薬でした
現在では、珍しい果物のひとつとして果物店などの並べられています