コケモモ             (ツツジ科スノキ属:常緑小低木:樹高 〜15センチ:花期 〜7月)

薬効
尿道炎 小便不利 利尿
分布生育場所

科名:ツツジ科/属名:スノキ属
和名:苔桃/学名:Vaccinium vitis-idaea
本州の高山及び北海道全域の寒地に自生する常緑の小低木

高原の湿地に自生するツルコケモモ

見分け方・特徴

コケモモは、ツツジ科の常緑低木で、幹は直立して少し分枝し、高さは10センチくらいです。
葉は、密につき互生(ごせい)し長さは1〜2.5センチの長楕円形か倒卵形(とうらんけい)で、先は丸く全縁(ぜんえん)です。葉の縁が少し下の方に巻き込んでいて、乾燥するとさらに巻き込むようになります。
花は、6〜7月ころに、枝先に短い総状花序(そうじょうかじょ)をつけ、紅色がかった白色の鐘状花(しょうじょうか)を数個つけます。
果実は、直径10ミリくらいの球形の液果(えきか)で赤く熟します。



採集と調整
夏から秋にかけて葉がついた小枝ごと採取して、蒸し器で20分間蒸してから日干しにします。
乾いたら葉だけを集めて、フライパンなどで焦げないようにして弱火で、さらに乾燥させます。

コケモモは、高山帯などでの採取は、貴重な植物の自然保護の観点から採取してはいけません。



薬効・用い方
コケモモは、利尿(りにょう)、尿道防腐に尿道が痛んだり、しみたりするときに、乾燥した葉10〜15グラムを1日量として水0.5リットルで煎じて、約半量に煮つめて3回に分けて食間に服用します。

コケモモは、ウワウルシ(クマコケモモ)の代用として用いますが、煎液はウワウルシに比較すると味が悪いので、ほとんど用いていません。

コケモモ酒:紅熟した果実は甘酸っぱい味がして、8〜9月ころに果実は紅く熟します。このころに採取した果実を良く洗い、水をよく切ってから果実の3倍量のホワイトリカー、砂糖は果実の3分の1くらいを入れて冷暗所に置いて熟成させます。
コケモモ酒は、2ヶ月程度でも飲めますが、3ヶ月以上熟成したほうが味も色も良くなります。
美しいピンク色になり、就寝前に30ミリリットルを限度として飲むと疲労回復に良く効きます。
コケモモは、コケモモ酒のほかにも、ジャム、羊かん、塩づけなどに用いられています。



その他
名の由来は、苔(こけ)のように地面を四方に這って伸びて、赤い果実を桃に見立てて、コケモモの名がついた。

北海道では、アイヌ語の赤い実とい意味のフレップの名で知られている

コケモモは、北半球一帯の寒帯、亜寒帯に多く分布しています。
ヨーロッパ産のクマコケモモの葉を、ウワウルシといって、尿路殺菌や利尿剤として膀胱(ぼうこう)カタルや腎盂炎(じんうえん)などに用いられています。
コケモモは、ウワウルシと同じツツジ科の植物であって、日本ではウワウルシの代用として用いられたのは、昭和13年(1938年)からとされています。