ゲッケイジュ      (クスノキ科ゲッケイジュ属:常緑低木:樹高 〜10メートル:花期 〜5月)

薬効
苦味健胃 神経痛(しんけいつう) リューマチ
分布生育場所

科名:クスノキ科/属名:ゲッケイジュ属
和名:月桂樹/別名:ローレル/学名:Laurus nobilis
日本全土で庭木などで植栽

クスノキ科クスノキ属クスノキ(樟)
クスノキ科クスノキ属ニッケイ(ニッキ)(肉桂)
クスノキ科クロモジ属クロモジ(黒文字)

見分け方・特徴

ゲッケイジュは、常緑の小低木で分枝が多く、葉は長楕円形の全縁(ぜんえん)で少し波状になっていて、滑らかでつやがあって暗褐色の色をしています。
花は、春に葉のわきに1〜2個ついて、数枚の総苞片(そうほうへん)の中に散形花序(さんけいかじょ)があります。
雌雄異株(しゆういしゅ)で、花弁(かべん)は淡黄色で4枚、雄ずいは多数ついています。
ゲッケイジュの果実は、広楕円形の形をしていて、秋には黒紫色に熟します。


採集と調整
ゲッケイジュは、必要なときに葉を採取して水洗いした後に、日干しにして乾燥させて細かく刻んで保存します。
これを生薬(しょうやく)で、月桂樹(げっけいじゅ)といいます。(月桂樹葉(げっけいじゅよう))


薬効・用い方
ゲッケイジュの葉は、芳香(ほうこう)性の精油(せいゆ)を含み、この葉からとった油を月桂油(げっけいゆ)といいます。
葉の主成分は、シネオール、オイゲノールなどで、リューマチ、神経痛に1日量3グラムを水0.3リットルで煎じて、約2分の1量まで煮つめたものを服用します。
また、芳香性苦味健胃(くみけんい)薬として粉末を1日量3グラムとして1日3回食後に服用します。
果実は、秋ごろに熟して黒紫色になってから採取して乾燥させます。これは、月桂実(げっけいじつ)といい、苦味健胃薬として用います。
また、果実の精油の主成分は、シネオール、ピネンで、脂肪油には、ラウリン酸などが含まれています。

ディオスコリデスの薬物誌「マテリア・メディカ」には、ゲッケイジュは、小葉をつけるものと、幅の広い葉をつけるものとがあって、どちらも薬効は同様であるとされています。
薬効は温めると、症状を和らげる作用があるとしていて、煎じ液で坐浴をすると、子宮や膀胱(ぼうこう)の痛みに効果があるとされています。
また、ゲッケイジュの根皮2グラムくらいを芳香のあるぶどう酒とともに服用すると、胆石を溶かして、肝臓病に効き目があるという記述があります。
(ギリシャの薬物学者ディオスコリデス(AD40〜90年)が編集した世界の薬草鑑定のバイブルとして有名。「マテリア・メディカ」は、ジュニパー「利尿作用」、マージョラム「催眠性」、没薬「歯、歯茎」、サイプレス「下痢・止血」、コスタス「性欲」など薬効や特徴などにより分類されています。)

その他
月桂樹(げっけいじゅ)は、ローレルともいい、ギリシャ名はダフネで、ギリシャ神話に出てくるニンフの名前です。
これは、エロスの矢を胸に受けた、アポロンはダフネを恋するようになりましたが、ダフネはアポロンが好きにはなれずに、いつでもうまく逃げ回っていましたが、ついに、ダフネはアポロンにつかまりそうになり、それを見ていた、ゼウスがダフネを、ゲッケイジュに変身させて、アポロンから救ったとされています。
また、アポロンは競技の神であったところから、各種の競技の表彰に用いられるようになったといわれています。

名前の由来は、中国の古典「英華字典」には、ノーブル・ローレルを月桂樹(げっけいじゅ)と訳したという記述があります。
和名は、そのままを音読みしたものです。

ゲッケイジュは、地中海沿岸地方の原産で、現在は世界中に広く栽培されています。日本には、明治になってから、渡来しました。

ゲッケイジュは、葉の乾燥したものが月桂葉(げっけいよう)で、ローレル、ローレル葉、ベイリーフの名前で、スパイスとして食料品店などで販売されています。この、ゲッケイジュの乾燥葉は、くさみを取ったり、香りをつけるために、魚や肉の料理、カレー、スープ、シチューなどに使用されます。