オニグルミ          (クルミ科クルミ属:落葉性高木:樹高 〜25メートル:花期 〜6月)

滋養強壮せき・たん しもやけ 円形脱毛症

科名:クルミ科/属名:クルミ属
和名:鬼胡桃/学名:Juglans mandshurica var.sieboldiana
山地の川沿いに自生する落葉高木。植栽にも利用されています。

クルミ科サワグルミ属サワグルミ

見分け方・特徴

オニグルミは、落葉性の高木で山地に自生して、植栽もされていて、樹皮に縦の裂け目がつきます。
葉は、大型で互生(ごせい)して、奇数羽状複葉(うじょうふくよう)で、初めは腺毛(せんもう)があって触れると芳香(ほうこう)を発っしますが、後には脱落して無毛となります。
小葉は9〜17個で長卵形で先は尖り、基部は左右不同になっていて、葉縁には細鋸歯(きょし)があります。
花は、5〜6月ころに若葉とともにつき、雄花穂(かすい)は緑色で、前年のびた枝の葉の脇から垂れ下がり、雌花穂は少し遅れて今年のびた若い枝の葉の脇につきます。
果実は、秋に熟して、球状で直径約3センチ、黄緑色で細毛でおおわれていて、中には深いしわのある堅い核があり、その中に褐色のうすい種皮と白色の子葉があります。子葉も、核の表面の皺溝(しわみぞ)と同じような形をしています。
種子は、非常に美味しく食べることができます。
採集と調整
オニグルミは、夏に果実が未熟で青いときに採取して、厚い外側の皮を摩り下ろして、生のまま使用します。

秋に、熟した果実を採取して、土中に埋めて果実を腐らせてから水洗いして保存。
種子は、堅いからを割って中の子葉からできた種子を集めて日干しにして乾燥。

通常販売されているのは栽培品種の菓子グルミ
薬効・用い方
滋養、強壮と鎮咳(ちんがい)薬として、クルミの種子を食べますが、過食には注意が必要です。
種子は、堅い殻の中の子葉の部分で、脂肪油約50%を含み栄養が非常に高いものです。
この脂肪油には、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸が多く、血液中のコレステロールを除く作用があります。

かゆみのある寄生性の皮膚病には、未熟果肉を摩り下ろした、汁を患部にすりこむように塗ります。また、しもやけ、わきが、水虫にも効き目があるとされます。

樹皮も薬用として用いられていて、樹皮を煎じて服用すると通経に効き目があります。

また、樹皮や葉の煎じ汁、外果皮のすりおろし汁には、発毛作用があるとされていて、発毛薬やその煎じ液で髪を洗うと黒くなるといいます。
その他
オニグルミの名前の由来は、オニグルミの果実の中の核の表面が、でこぼこがあって、みにくいので、鬼の面にたとえて、この名前がついたと言われています。

また、クルミの名前の由来には、樹皮が黒いことから染料に用いて、黒む実(くろむみ)から転訛(てんか)して、クルミという名がついたという説や、中国(呉・くれ)から渡来したので、呉実(くれみ)から転訛(てんか)して、クルミの名がついたという説があります。

一般には、植物名に「オニ」という名前をつける場合には、同じような植物の種類でも大型の場合につけることが多いようです。