オオグルマ             (キク科オグルマ属:多年草:草丈 〜2メートル:花期 〜7月)

薬効
発汗 利尿 利尿 漢方処方
分布生育場所

科名:キク科/属名:オグルマ属
和名:大車/生薬名:土木香(どもっこう)/学名:Inula helenium L.
南東ヨーロッパ、西アジア原産、アメリカを含む世界各地の気候で育ち栽培される
日本各地で栽培。

見分け方・特徴

オオグルマは、ヨーロッパ原産の多年草で各地で栽培されています。
草丈が1〜2メートルにもなり、茎、葉全体に軟毛があって、葉は大型で楕円形をしていて、縁(ふち)には鋸歯(きょし)が並んでいます。
花は、夏から秋にかけて黄色の舌状花(ぜつじょうか)からなる頭状花(とうじょうか)を数個から10数個つけます。

栽培は、春に種子を播種。根を株分けで殖やす。  
採集と調整
オオグルマは、初冬のころに、根を掘りとって水洗いして、輪切りにしてから、陰干しにして乾燥させます。
オオグルマの根の乾燥したものは、芳香(ほうこう)があります。
これを生薬名で、土木香(どもっこう)といいます。
薬効・用い方
有効成分:イヌリン(40%以下)、揮発油(4%以下)、アラントール、セスキテルペンラクトン(アラントラクトンを含む
他に、トリテルペンサポニン(ダンマランダイエノール)、ステロール、ポリアセチレン

オオグルマは、ヨーロッパでは、民間薬として発汗、利尿(りにょう)、去痰(きょたん)に用いています。
1日量10グラムを煎じ食間に3回に分けて服用します。これは、結核患者の強壮剤としても効き目があります。
日本では、製薬会社が、一部の薬を飲みやすくするための賦香料(ふこうりょう)として使用しています。これは、多量のイヌリンというデンプンに似た貯蔵物とともに精油(せいゆ)を含んでいるためです。
この精油の主成分は、アラントラクトンと呼ばれる化合物です。
このアラントラクトンという化合物は、駆虫の目的で用いられたこともありましたが、用いる量と中毒になる量が接近していて、非常に危険なために現在ではほとんど使用されていません。
その他
もともと、木香(もっこう)とはインドのカシミール地方原産のキク科の植物の根のことで、日本では栽培された記録はなく、根から調整された木香(もっこう)という生薬を、インドや中国から輸入してきました。

日本の古書の「用薬須知(ようやくすち・1726)」には、「とぼしき時通用すべし」という記述があるのは、この木香(もっこう)が足りないときに、または手元にないときだけに用いるという意味で、日本では古くから、オオグルマが本物の木香(もっこう)の代用とされて用いられてきたことが解ります。

また、飯沼慾斎(いいぬまよくさい・1783〜1865)の記述した「草木図説(そうもくずせつ)」でも、オオグルマを収載しています。その内容は、オオグルマの学名は、ホッタイレなどより、イヌラ・ヘレニユムと正しく同定しています。しかも、舶来木香(もっこう)がオランダ産であることと、漢より渡るものもオランダより漢に、そして日本に持来るものであることなどを詳細に論じています。

木香(もっこう)は、特有の芳香(ほうこう)が強く、なめると苦い味がしますが、オオグルマの根を乾燥したものは、土木香(どもっこう)と呼ばれていて、木香(もっこう)よりは、芳香も味も強くはありません。

英名:ELECAMPANE(エレカンペイン)
オオグルマは、ローマ人に薬用や食用として紹介され、気管支系や消化器系の病気に用いられた
植物学での名前の由来は、トロイの伝説に由来していて、美しいスパルタ王妃ヘレンがトロイの王子パリスと暮らすときに、オオグルマ/ELECAMPANE(エレカンペイン)を手に持っていたという

ELECAMPANE(エレカンペイン)の根茎は穏やかに身体を温め、消化器系や強壮に効果があると考えられていて、特に慢性気管支炎や胸部の疾患に効果がある