リンドウ       ( リンドウ科リンドウ属:多年草:草丈 〜90センチ:花期 9〜11月)

薬効
食欲不振 消化不良 胃弱・胃下垂・胃アトニー 胃酸過多・胸やけ

腹痛

排尿痛
残尿感    
分布生育場所

科名:リンドウ科/属名:リンドウ属
和名:竜胆/生薬名:竜胆(りゅうたん)/学名:Gentiana scabra var.buergeri
本州、四国、九州の丘陵の草地に自生
本州中部以北・北海道にはエゾリンドウ、本州中部以北の亜高山、新潟県御神楽岳のオヤマリンドウ、 新潟県越後駒ケ岳のリンドウ 、本州、四国、九州の春に咲くフデリンドウ、新潟県御神楽岳のツルリンドウ 、月山のミヤマリンドウ、尾瀬/燧ケ岳(ひうちがたけ)熊沢田代のタテヤマリンドウ、山形県月山のエゾオヤマリンドウ
スペイン、南フランス、スイス、オーストリア、南ドイツ、バルカン半島などヨーロッパ・アルプスの山麓の亜高山帯の海抜1000メートル以上の石灰岩質の半陰地〜湿地に自生するリンドウ科リンドウ属のゲンチアナ

見分け方・特徴

薬用に利用するリンドウは多年草で、高さが30〜60センチになり、根茎は淡黄色で少し肥大して長くのび、多数のひげ状の根をつけます、根はかむと、強い苦味があります。
ひとつの株から花茎(かけい)が一本から数本真っ直ぐのび、普通は枝分かれしていません。
ササの葉に似た、葉は対生で10〜20対あり、形は披針形で長さ4〜12センチ、巾1〜3センチで先は尖っています。
葉縁は全縁ですが細いデコボコがあり、ざらついた感じになっていて、葉脈は主脈と両側に支脈があります。
花は、秋に茎頂(けいちょう)部に濃紫色の鐘状花(しょうじょうか)を数個つけ、大きさは長さ4.5〜6センチ、5中裂して、裂片は線状披針形で外側に反り返っていて、雄しべ5、雌しべは1です。

薬用には、「リンドウ」関東以西に多く自生して、草丈は20〜1メートルになり、根茎(こんけい)は細く、葉の縁に細かい突起があり、ざらざらした感じがします。
「エゾリンドウ」近畿以北に多く、草丈は30〜80センチ。根茎は太く葉の縁のざらつきがない。
一般に花屋で売られている早生(わせ)リンドウは、このエゾリンドウの栽培品で花の数も多く見事に咲き、根茎もリンドウと比較して太く大型です。
「オヤマリンドウ」エゾリンドウの高山型で、草丈は20〜50センチで、根茎は太い。
秋深まってから咲く花は「リンドウ」で薬用に広く用いられます。
リンドウは葉が細いほど苦味が強いとされています。
採集と調整
秋、花後に茎、葉も枯れる頃、根を掘り採り、地上部を切って、水洗いして十分に天日で乾燥させます。
これを生薬で、竜胆(りゅうたん)といいます。

また、竜胆(りゅうたん)は、苦味(にがみ)が強いことでよく知られているいます。
クマの胆嚢(たんのう)を乾燥した「クマの胆(い)」の、熊胆(のうたん)より苦いということから、竜の胆として、竜胆(りゅうたん)の名前がついたとされています。
薬効・用い方
竜胆(りゅうたん)は、主に健胃を目的としますが、苦味成分であるゲンチオピクロシドという成分は舌の先を刺激して、大脳反射により胃液の分泌を盛んにし、また、直接胃内に入ってからも、胃液の分泌を促進することが知られています。
生薬の竜胆(りゅうたん)末0.5グラムを食前に飲むか、竜胆の粉末1日量2〜3グラムとして煎用します。唾液、胃液、膵液(すい)、胆汁の分泌を促進して胃腸の働きを活発にするため、食欲不振、消化不良、胃アトニー、胃酸過多症、腹痛などに効果があります。
また、のどがはれて痛いとき、根をくだいて飲むと痛みがとれます。

竜胆(りゅうたん)酒:リンドウの根茎200グラム、ホワイトリカー1リットル、グラニュー糖100グラムを加えて、冷暗所に3ヶ月熟成してから飲用。

漢方では、消炎の目的で竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)に配合されています。

日本で竜胆(りゅうたん)が、胃の薬として使用され始めたのは、西洋医学が日本に入り漢方薬に代わり洋薬が使われるようになるころからです。
ヨーロッパでは、古くて紀元前167年ころイタリアの国王ゲンチウスにより、健胃剤としての薬効が確認されてから、健胃の目的で使用していたリンドウの仲間であるゲンチアナ・ルテアの根を使用するようになりました。ゲンチアナ・ルテアの花は黄色で草丈は1メートルにも達して、根も太く大型で、苦味があるところから、従来漢方薬としては消炎剤として用いていました、日本産のリンドウも、それから健胃薬として用いられるようになりました。
その他
名前の由来は、クマの胆(い)より苦いという生薬名の、竜胆(りゅうたん)を、音読みにしたものです。
別名では、胃病み草(いやみぐさ)、ケロリグサなど、胃に関する名前があります。

リンドウ科には、世界に約70属1150種以上もあり、日本には12属38種があります。
このうち、リンドウ属には比較的大型のエゾリンドウ、リンドウ、トウヤクリンドウと小型のミヤマリンドウ、フデリンドウ、ハルリンドウなど14種類があります。