コウホネ              (スイセン科コウホネ属:多年草:花期 6〜9月)

薬効
滋養強壮 はれもの・できもの 打撲傷(うちみ) 月経不順 産前産後  
           
分布生育場所

科名:スイセン科/属名:コウホネ属
和名:河骨/生薬名:川骨(せんこつ)/学名:Nuphar japonicum
北海道南部、本州、四国、九州の小川や沼地などに普通に見られる水生の多年草草本(そうほん)

スイセン科コウホネ属オゼコウホネ(尾瀬河骨)

見分け方・特徴

コウホネの、地下茎は太く、海綿質をしていて、泥のなかに横にのびた根茎(こんけい)は、親指より太くて、少し曲がりくねった感じがあり、ところどころに節があって、下側に多数の根がでています。
根茎は外側が灰緑で、折ると白色の多孔質になっています。
葉は地下茎の先の方から水上にのびた柄についています。水中の葉は細長く、膜質をしていて、流れのある場所では、ワカメのような帯状のものを水中に出しますが、沼や小川の淵などの流れがあまりない場所では、長卵形や長楕円形です。
水上の葉は長卵形から長楕円形、先は鈍頭、基部は矢じり形のサトイモのような葉をしています。
長さは20〜30センチ、表面は光沢があって濃い緑色をしています。葉縁は全縁で少し波をうっています。

花は水上の花柄の先に1個直径4〜5センチ程のものをつけます。がく片は5で長さ約2.5センチ程、倒卵形をしていて、一見、花弁のように見えます。花弁は多数あって、形は長方形で長さ8ミリ程です。色は黄色をしています。
コウホネの果実は、約3センチ程の卵円形で水中で熟し、緑色です。全体が小型のものをココウホネと呼びます。

採集と調整
夏から秋に地下茎を掘り、ひげ根を除いて20〜30センチに切り、さらに縦割りにして日干しにします。
乾くと、外面は暗褐色、内部は白色になります。
春に採取すると白色の肉質部はうすくなってしまいますので、根茎が充実した秋に採取して、白色のしっかりとした、ものに仕上げる必要があります。
コウホネの根茎の内部は、多孔質で軽くて、なめると、やや苦い味がします。
秋に採取したコウホネの根茎を乾燥したものが、生薬で川骨(せんこつ)といいます

薬効・用い方
強壮薬および止血薬として産前、産後の出血、月経不順などで気分がすぐれない、ときなどに広く婦人病に用いられます。
一般的には、漢方処方として用いられていますが、単品の使用では1日量5〜12グラムを0.5リットルの水を加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、1日3回に分けて強壮、婦人病などを目的に空腹時に服用します。

打撲に用いるには、川骨(せんこつ)が配合された漢方処方の「治打撲一方(じだぼくいっぽう)は(川骨(せんこつ)、川芎(せんきゅう)、槲皮(こくひ)、桂枝(けいし)を各3グラム、甘草(かんぞう)1.5グラム、丁子(ちょうじ)、大黄(だいおう)1グラム」を0.5リットルの水で煎じて、1日3回食前に服用します。
これは、打撲のはれや痛みに、非常によく効きます。

栽培:もともと朝鮮半島から、日本各地に広く分布して、小川、池沼などのの、水の枯れることのない場所に生えていて比較的栽培は容易です。
コウホネは、可憐な花が咲くことから栽培されることが多い植物のひとつです。

その他
コウホネの名前の由来は、泥に中に太く長く伸びて節があり、折ると白色のために、この白さを動物の骨にたとえて、川に中にある骨ということから、川骨(コウホネ)という名前がつけられました

コウホネの仲間には、オゼコウホネ、ネムロコウホネがあり、ネムロコウホネは、中国名は、萍蓬草(へいほうそう)といって本州北部の山地と北海道からシベリア、中国大陸、ヨーロッパにいたるユーラシア大陸の沼などに広く分布します。コウホネより、少し小型で水中葉がなく花も少し小型になります