クズ      (マメ科クズ属:多年性蔓状草本:草丈 〜20センチ:花期 〜9月)

薬効
かぜ 下痢 糖尿病 健康飲料    
           
分布生育場所

科名:マメ科/属名:クズ属
和名:葛/生薬名:葛根(かっこん)/学名:Pueraria lobata
日本全土の日当たりのよい山野、野原、荒地に群生する、大型の多年草で繁殖力旺盛
日本各地、朝鮮半島から中国大陸に分布して、北米に帰化しています

見分け方・特徴

クズの根は肥大し長大で、澱粉を蓄えて横にのび白色、かむと少し苦味があります
茎は太く丈夫で、長く他に絡みついてのび、褐色毛におおわれています
葉は互生し、3出複葉、小葉の柄は短く、2つの側葉の形は楕円形、真中の小葉は円形です。葉縁は全縁、長さ、巾とも10〜15センチ程です。葉の裏面は白味を帯びて毛が密集してざらざらしています
クズの花は秋に、葉腋からのびた軸に総状花序をつくります。花は長さ1.8〜2センチ、色は赤茶色で、形は蝶形で旗弁、翼弁、竜骨弁からなっています
果実は長さ6〜8センチ、巾8〜10ミリの扁平、茶褐色で、有毛のさやをつけます

採集と調整
クズの根を秋から春にかけて、地上部に残った茎をつたって、掘り採ります。
十分に水洗いして、乾燥しやすいように、外側の皮を取り除き、板状あるいはサイコロ状に切ってから天日で乾燥させます。これを生薬名で葛根(かっこん)といいます

葛粉(くずこ)は、掘りとった根を水で洗い、外皮を取り除いた根をすりおろして粥状(かゆ)にし、綿布でこして繊維質を除き、少し放置してうわ澄み液を捨てて、数回同じことを繰り返すと、底に白泥が残ります、これを乾燥したもので、でんぷん質だけを集めたものです

病後やかぜをひいたときなどに、薬用にする葛湯(くずゆ)は、あまり水にさらさないので灰色になりませんが、葛粉(くずこ)と同様に近い効き目があります。

クズの花(葛花・かっか)は、9月の開花の始まる頃、穂状の総状花序ごと採取し、風通しのよい場所で速やかに乾燥させます。

薬効・用い方
有効成分は、多量のデンプン他

解熱、鎮徑(ちんけい)、脳冠状血管血流増加作用や血糖降下、女性ホルモン様作用があり、発汗解熱効果がすぐれています

漢方薬の葛根湯(かっこんとう)桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)などに配合され、漢方薬に最も多く配合される薬草のひとつです。葛根(かっこん)は主に漢方処方の葛根湯の主薬となり、葛粉からつくる葛湯(くずゆ)は、風邪などの時に用いるとよく効き目があり、寒気や熱をとり、のどの渇きや下痢をとめるといいます。

乾燥したクズの花(葛花・かっか)は、2日酔いに葛花3〜5グラムを0.3リットルの水で煎じ、沸騰したら加熱をやめ、冷えてから飲みます

健康飲料には、水洗いした生の根を約100グラム小さく刻んでミキサーに入れて、水を加えて砕いた後に、繊維質が沈殿したら、うわ澄み液を別の容器に移して、これを1週間分として冷蔵庫に保存して、朝夕2回食前に飲みます

塗布:葉を乾燥して粉末にしたものに油を混ぜて外傷の出血に塗る。

クズの新芽、若葉を摘み取り、熱湯で塩茹でして、あえもの、油いために。クズの花は、塩ゆでして酢のものや天ぷらにします。また、葛粉(くずこ)で葛湯(くずゆ)のほかに、くず餅、和菓子などに利用します

クズデンプン:肥大した根茎を秋に掘り取り、洗って泥を良く落とし根皮を削り取り、たたき潰して出る汁を水にさらす。白いデンプンが沈殿(ちんでん)するので、水洗いして集めて乾燥する。
これが、不純物の入らない良質なクズデンプンです。

その他
クズの名前の由来は、神武天皇東征に絶大な功績があった、磐排別(いわおしわく)の子供の名前、大和国・奈良県の国栖(くず)が、デンプン・葛粉(くずこ)の産地であり、この国栖(くず)の人々が京都に売りに来たことから由来するという

地方では、甘みがある根茎を噛んで、噛む根という意味から、カンネや、馬が好んで葉を食べるので、千葉ではウマノボタモチ、群馬ではウマノオコワなどの方言がある

昔は、クズのつるを材料にして葛布(くずふ)に織って着物にしたり、葉を家畜の飼料にしていて、葛布(くずふ)は今も各地に残る民芸織物に利用され、特に掛川(静岡)の葛布(くずふ)の織物は有名

また、クズからとれるクズデンプンは和菓子の材料として利用されていて、はるさめに似た葛切(くずきり)は、クズデンプンを水でといて煮たものを冷ましてから、うどんのように細く切ったもの