キササゲ      (ノウゼンカズラ科キササゲ属:落葉性高木:樹高 〜10メートル:花期 〜7月)

薬効
腎炎 むくみ(浮腫・水腫) 小便不利 はれもの・できもの かゆみ止め 糖尿病合併症
           
分布生育場所

科名:ノウゼンカズラ科/属名:キササゲ属
和名:木大角豆/生薬名:梓実(しじつ)/梓白皮(しはくひ)/学名:Catalpa ovata
日本全土の温暖な河原や谷筋など、やや湿った場所。
中国中南部の原産、日本には古くから渡来して野生化しました。

見分け方・特徴

キササゲは、落葉性の10メートルにもなる高木で幹も太く、直径が60センチに達するものがあります。葉は桐のようで大きく、やや三角形状の広卵円形です。
花は淡黄色で内側に紫色の斑点があり、10花ぐらいを円錐状につけます。
果実はササゲのように細長く20〜30センチ位になり、枝の先に10本ほど付き、果実の中には両端に白毛をもった種子がびっしりと詰まり、さや果が縦に割れて飛び出し風に乗り広く散布されます。
種子は、非常に発芽率がよく日本の各地に広く分布するようになり、中国原産と言われていますが、特に各地の河畔に野性化するようになりました。
採集と調整
秋にさや状の果実がまだ未熟な緑色をしている頃、果実内の種子が外にこぼれない時に採取して、採取と同時に2〜3センチに刻んでから乾燥させます。
このキササゲの果実の乾燥したものを生薬で梓実(しじつ)・キササゲといいます。
キササゲの根皮は生薬名を、梓白皮(しはくひ)といい、7月〜8月に根を掘り採り、水洗いして皮をはぎ、天日で乾燥させます。
薬効・用い方
キササゲは、非常に利尿(りにょう)作用が強く、腎炎(じんえん)やネフローゼによる顕著(けんちょ)な、むくみや蛋白尿をおこしたときの利尿剤として効き目があります。

糖尿病合併症糖尿病性腎症に効果があるといわれています。

乾燥した果実・梓実(しじつ)を2〜3センチに刻み1日量10グラムに水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、1日3回に分け食間に服用します。利尿薬として非常にすぐれています。
また、一度に大量に服用すると、気分が悪くなったり吐き気をもようしたりする場合がありますので過量の服用と副作用には充分注意する必要があります。

根皮・梓白皮(しはくひ)を乾燥し、細かく刻んだもの1日量10グラムに、水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めた煎液は、解熱、解毒剤として使用します。
梓白皮(しはくひ)の煎じ液は皮膚のかゆみやできものなどの塗布にも用います。
また、果実・葉を8グラムを水0.2リットルで煎じて、イボ痔に服用するとされます。

キササゲの有効成分は、カタルピン、オキシレン酸、プロトカテキン酸。

中国では、キササゲの若い葉を食用にしています。
その他
キササゲは、高木になり水気を好むために避雷針がわりに利用され雷除けの木といわれて、神社、仏閣、屋敷内などによく植えられています。
キササゲの名前の由来は、冬に葉が全部落ちてしまっても、このさや状の果実は木に残り、ぶら下がっている状態からキササゲという名前がつき、木にササゲ(実が赤飯などに入れるササゲ(マメ科))のような果実をつけるという意味になります。

キササゲの中国名は、梓(し)であり、日本でも梓(あずさ)と呼びます。別名にカワラササゲ、カミナリササゲがあり、中国名にも河楸(かしゅう)、雷電木(かみなりぎ)があるとこらから、別名も中国から伝わったもと考えられます。
カワラササゲは河岸に多く自生するとこらからついた呼び名で、カミナリササゲは庭に植えておくと落雷を防ぐということからついた呼び名で、両方ともにおもしろい呼び名です。

漢名の梓(あずさ)と楸(ひさぎ)は源植物が、はっきりとしていなかったようですが、梓(あずさ)はキササゲ、楸(ひさぎ)はトウキササゲです。
この仲間は世界に10種類ほどあり、日本には中国原産のキササゲ、トウキササゲとアメリカ東南部原産のアメリカキササゲ(ハナキササゲ)があります。

キササゲは温暖な河原や谷筋などの、やや湿った場所に好んで自生し、日本固有のものではなく中国から渡来しましたが、日本で栽培されたものが野生化して普通に見かけることができる帰化植物のひとつです。
原産地の中国では、キササゲの自生状態のものが減少して、庭などで栽培されているものが中心になっていますので、日本の気候がキササゲに適しているようです。

民間薬:民間薬とは、日本で文字の無いような古くから伝わり生活の中に溶け込み、自然と伝えられてきたもので、その用い方も、経験や体験などから言い伝えられてきました。
民間薬は、多くは単一で用いますが古くから伝わる胃腸病の妙薬として知られている「陀羅尼助(だらにすけ)」や「お百草」、「御獄(おんたけ)山の百草」のように調合して用いる場合もあります。
民間は一般的に用いるので、まず、安全で副作用が無いことが一番の条件になります。
民間薬として、センブリドクダミゲンノショウコキササゲカキドオシタラノキウラジロガシがよく知られています。